平成26年度 施政方針

更新日:2023年03月15日

公開日:2023年02月17日

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 施政方針とは、町政運営にあたり町長の町政運営に対する基本的な考え方や予算案および主要な施策について述べたものです。

平成26年度 施政方針

 平成26年3月3日(月曜日)、新宮町議会平成26年第1回定例会において、長崎町長(長崎のさきは「たつさき」)が平成26年度施政方針を述べました。

施政方針(PDFファイル)

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施政方針(本文)

  •  はじめに
  •  1.義務教育関連施設
  •  2.人が輝き―教育、子育て支援、保育、生涯学習、人権などの分野
  •  3.快適に暮らせる―土地利用、道路、交通、上下水道、環境、防災防犯などの分野
  •  4.元気なまち―産業振興、福祉、健康、協働、行政経営などの分野

はじめに

 本日ここに、平成26年第1回新宮町議会定例会の開会にあたり、新年度に臨む施政方針と主要施策の概要について申し述べ、議員各位のご賛同と併せて住民の皆様のご協力を賜りたいと存じます。

 さて、昨今の日本国内の状況を見ますと、ここにきて株価が1万5千円前後で推移し、ドル円相場も100円を超えたところで落ち着くなど、アベノミクス効果と申しますか、景気が回復基調にあることは間違いないようです。しかしながら、消費税の増税をはじめとした税負担や、社会保障費における個人負担の増加、さらにはデフレからの脱却による消費者物価の上昇が、低所得世帯の国民生活を圧迫するのではないかと危惧いたしております。今年の春闘では一部の大手企業が賃上げに前向きな姿勢を見せておるようですが、非正規雇用が横行し、若者の雇用が不安定な社会状況や国の財政赤字が累積している状況では、まだまだ本当に景気が回復するのかわからない状況ではないかと思っております。

 こうした状況の中、国は消費税の増税や景気回復に伴う税収増6兆9千億円を見込んで平成26年度予算を編成しているわけでございますが、公債費の借入れと支払いの差額を収支均衡させるためには、なお18兆円もの財源を必要としています。

 一方で、地方財政計画の歳入では、地方税を9,952億円、地方譲与税を4,094億円、平成25年度より多く見込んではおりますが、地方交付税は1,769億円少ない16兆8,855億円、さらにリーマンショック後の税収の落ち込みをカバーするために設けられた交付税の別枠加算が3,800億円の減、交付税原資不足を補う目的である臨時財政対策債が6,180億円の大幅な削減となっており、結果的には景気の回復に伴う地方税の増収見込み分と消費税の増税による影響額は、地方財政計画の中で収支調整されただけで、国、地方を通じた財政赤字が続く限り地方の一般財源が増えることはないようでございます。

 私も、町長に就任して、3年が過ぎようとしています。任期最終年度となる新年度は、公約として掲げた事項についてその成果を検証し、未だ着手できなかった公約についても一定の方向性を見いだしていかなければならないと考えています。しかしながら、想像を超える急速な発展を遂げています本町の現状では、様々な行政課題に直面することが数多くあり、まずは喫緊の課題に対して確実に対応していきたいと考えています。具体的には公約の一つであります、「教育環境及び福祉の充実」であろうかと思いますが、保育所・小中学校の新増設に鋭意取り組んでおり、現在のところは予定どおりの進捗状況でございます。また、長年の課題である東部振興策につきましても、検討が進んでいる三代、原上地区には各々の地区に関する「まちづくり計画書」を提示したところで、今後事業化の可能性を探って参りたいと思っております。

 また、これからは人口急増に対応した施設整備は勿論のこと、住みやすい、安全で安心なまちづくりを進めていかなければならないと考えています。そのために「環境基本計画」、「男女共同参画基本計画」、「地域福祉計画」などの各種計画を相次いで策定いたしましたが、26年度以降これらの計画を住民参加のもとに実施していく必要があることから、協働の理念を住民と行政が共有するとともに、住民や各種ボランティア、企業などと協力して地域課題の解決に向けた取り組みを行っていくことを目的とした「協働のまちづくり指針」を策定し、人を中心に捉えた行政を推進したいと考えています。

 さて、本町の新年度予算でございますが、その特徴といたしましては、新設小学校の建設に伴う交通安全対策並びに周辺環境の整備に関する予算を中心に、子育て、福祉、ゴミ処理関係など人口増加に伴う所要の経費を確保したことにより、そぴあしんぐうを建設した平成12年度以来の大型予算となっております。特に新設小学校周辺の環境整備は、学校建設をまちづくりの好機と捉え、中心市街地の良好な住環境を周辺に拡げていきたいという考えでございます。

 そのような中で編成いたしました平成26年度当初予算は、一般会計が100億1千万円と昨年の予算79億8千万円に比べ、20億3千万円の増額予算、対前年比約25.5%の増となりました。また、会計方式が異なる水道会計を除いた8つの特別会計は、総額39億7千万円と昨年の37億5千万円に比べ、2億2千万円、約5.9%の増額となっています。

 それでは、新年度における主要施策、新規事業、特徴的事業等その概要について特別会計を含めて説明いたします。

 説明の順番につきましては、先程から申し上げている最優先課題であります新設小学校の建設及び関連事業に関する予算をご説明させていただいた後に、昨年同様に第5次総合計画に掲げられたまちの将来像に従ってテーマ順に分けて申し上げたいと思います。なお、平成26年度の施政全般につきましては、事業費の多少に関わらず私の考え方や取り組み姿勢についても触れさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

1.義務教育関連施設

 まず、新設小学校の建設についてでございますが、スマートスクール構想の下、環境をキイワードにした魅力ある学校づくりを目指して、昨年の8月から計5回の学校づくり検討会議やシンポジウムを開催し、地域住民の皆様とともに学校づくりや通学路及び周辺の環境整備について検討を重ねて参りました。この検討結果を生かして実施設計を行っていますが、建設業界の人手不足や資材不足が深刻な状況であり、できる限り早い時期に校舎の建設予算を議会に提出し、今秋からでも着工できればと考えています。

 したがいまして、当初予算に計上する新設小学校関連事業は、新設小学校の建設費を除く交通安全対策並びに周辺環境の整備に関する予算を中心に、約12億円を計上いたしております。この中の主な事業といたしましては、校区再編に伴って、子どもたちが緑ケ浜区から国道495号線、JR鹿児島本線を超えて安全に登校するための歩道橋整備事業、主要な通学路となる北尾1号線の歩道整備事業及び歩道拡幅による家屋の移転に伴う事業、牟田地区の浸水対策として小学校グラウンド地下に調整池を設けるための事業などがございます。

 このような新設小学校関連の事業が完了しますと、平成28年4月の開校時には周辺環境を含めて素晴らしい小学校ができるものと期待しています。なお、公平な教育環境整備という観点から、他の小中学校のトイレ改修を行うとともに各教室への空調設備の導入について鋭意検討いたしております。

 次に新設中学校の候補地の選定についてでございますが、中学校の建設には4ヘクタールほどの用地が必要となり、現在の市街化区域内にその敷地を求めることは困難な状況でございます。したがいまして、国道3号線以東の市街化調整区域に新宮東小学校及び立花小学校の二小一校区を原則とした中学校を建設していくことは以前からご説明しておりました。この候補地の選定につきましては、両校区からの安全な通学路を確保することを念頭に、中学校を含めた周辺の土地利用計画が町のまちづくり及び東部地区の振興に寄与するものにしなければならないと思っておるところでございます。

 それでは、第5次総合計画のテーマ順に分けて新年度の施策や事業について申し上げたいと思います。

2.人が輝き―教育、子育て支援、保育、生涯学習、人権などの分野

 まず、子育て支援についてでございます。

 新宮町では、平成20年4月に1672人であった就学前の乳幼児が平成28年には約3200人になると推計しています。わずか8年でほぼ倍増するわけでございまして、認可保育所は今年4月に150人規模の定員を増やすことができましたが、昨年12月の保育所申込み状況からすると、既に待機児童が出そうな状況でございます。平成27年度に子ども・子育て関連3法が施行されれば、保育所の入所基準が緩和されることや、本町では将来的にも女性の社会進出の結果として保育所入所率が伸びるものと予想されることから、新年度に5園目の認可保育所の誘致・新設を検討しているところでございます。

 その他の子育て支援としましては、国の施策ではありますが、児童手当の支給対象となる世帯に消費税増税の影響緩和のための子育て世帯臨時特例給付金を、住民税非課税者に対する臨時福祉給付金とは別枠で支給することにしています。また、新設小学校の開校に併せて学童保育所を整備する必要があることから、その建築設計費を予算計上させて頂いております。

 学校運営関係では、町内の小中学校が地域に開かれた学校となるよう、コミュニティスクールとしての取り組みに力を入れている教育委員会の目標を後押ししていきたいと考えています。教育委員会制度改革が取りざたされている中、本町においては従来どおり町長部局と緊密な連携のもとに教育行政を進めて参ります。

 新年度予算のうち、私立幼稚園就園奨励費補助は、認可保育所と同様に第2子の保護者負担を半額にし、第3子を含めて所得制限を撤廃したため、私立幼稚園児の増加見込みと併せて前年度の倍額となっています。

 小学校費では、新宮小学校の給食室の増築工事費と職員室の改修工事費を計上しており、3月に完成する管理棟を含めて新宮小学校の児童数の増加に対応できる見通しでございます。

 また、社会教育の分野では、財政難のあおりを受けて、人丸公園と共に事業期間を延ばして整備してきておりました、相島積石塚群保存整備事業が新年度でほぼ完了する予定となっており、新たな観光スポットとして本町のイメージアップに役立てたいと思っています。このほか、そぴあしんぐうの屋上防水工事、緑ケ浜テニスコートの改修工事を実施するとともに、新設が予定される上府区公民館の建設費に対して補助金を交付することにしています。

 人権行政の分野においては、昨年から国勢調査を活用した町民の生活実態調査を行っており、格差社会における就労や就学の実態を把握するとともに、向こう3年間の新宮町人権啓発基本指針実施計画をとりまとめ、住民への人権啓発やあらゆる人権課題の解決に力を入れていきたいと思っております。

3.快適に暮らせる―土地利用、道路、交通、上下水道、環境、防災防犯などの分野

 まず新年度の大きな特徴として、先ほど述べました新設小学校周辺整備のほか、各区要望に係る道路や河川の補修工事費、今池公園整備事業費、JR新宮中央駅東口駐輪場整備事業費などの事業費が総額約14億円になっており、そのうちの約半額は社会資本整備総合交付金か都市再生整備計画事業費補助金を財源としていることでございます。

 このように以前の事業限定の補助金に比べて使途が拡充された財源を有効に活用することによって、文字どおり新設小学校校区内の老朽化した社会資本を更新し、生活環境を改善するとともに快適なまちづくりを推進していきたいと思います。

 土地利用関係では、冒頭に述べましたように三代、原上地区は各々の地区に関する「まちづくり計画書」において道路と土地利用に関する提案をしておりますが、国・県の許認可に関わることもあって事業化には難しい課題が山積しています。しかしながら、下府・湊地区の農地を含めて将来的な方向性は見いだしていかなければならないと考えています。

 また、立花口区に計画されていた県の産業廃棄物処分場用地として町が先行取得していた土地に、流通業務関連企業を誘致することにしており、県有地を含む隣接の残地については、公園広場的な土地利用が可能になる見込みでございます。

 さらに、新宮漁港の利活用や湊川のプレジャーボート、新宮海岸の飛砂対策などの課題につきましても、平成26年度に県の協力を得ながら漁港周辺環境整備計画を策定しまして、その中で解決の方向性を見いだしていかなければならないと考えています。
 次に、下水道面整備につきましては、平成26年度は、いよいよ緑ケ浜地区及び国道3号線から東部の三代地区の実施設計を行うようにしており、平成27年度から随時公共下水道管渠の整備を行って参ります。

 また上水道事業では、公共下水道整備に併せた水道管の更新と災害等による断水区域を極力限定的にすることを目的とした水道管網の再構築を行い、安定給水を目指していきます。なお、新年度から水道会計の企業会計方式が改正されたことにより、従来の予算計上方法と大幅な変更がございますのでご理解願います。

 昨年10月の伊豆大島の記録的な豪雨を教訓とした防災体制の強化につきましては、防災行政無線以外の住民への伝達方法についても検討し、いち早く情報を提供するとともに、防災行政に精通した例えば防災専門官といった専門職の配置について検討し、適切な避難指示や避難勧告が出せるような体制を整備する必要があると思っています。

 なお、消防関係では、全国的に自治体消防の団員不足と高齢化が深刻な問題となっていることから、本町においても処遇を改善し、団員の確保に努めて参りたいと考えております。

 交通事業についてでございますが、広島県の尾道市で建造中の新船が9月には完成し、10月から相島航路に就航することになっており、まもなく双胴船の渡船「しんぐう」を町民の皆様にお披露目できる予定であります。

 マリンクスについても平成15年に購入した3台のバスの買い換えが終了し、今後、コミュニティバスのあり方を含めて路線や時刻表を再度検討する時期にきているような気がしています。

4.元気なまち―産業振興、福祉、健康、協働、行政経営などの分野

 観光に関しましては、観光協会の設立に向けてのコンサルティング業務を委託し、観光アクションプランの作成と併せて推進していくことにしています。観光とは言いながら農業や漁業、商工の振興に繋がる計画にしていくことが必要であろうと思っております。

 福祉全般としては、地域の高齢者、障がい者、子育て家庭などの在宅支援又は自立支援を目的として、地域福祉計画及び地域福祉活動計画を策定しました。特に地域福祉活動計画は、行政の一翼を担う社会福祉協議会の活動方針を定めたもので、社会福祉協議会職員の地域担当制など、以前にも増して地域に密着した社会福祉協議会の活動を期待しています。

 高齢者福祉については、4月から立花口区内に40床の特別養護老人ホームが開所されます。今までは特別養護老人ホームが町内に1箇所しかなかったために、要介護度の高い高齢者の入所待ちが生じておりましたが、今後は町内施設への入所が容易になるのではないかと思います。また、元気な高齢者が約250名登録されている新宮町シルバー人材センターが昨年12月に公益社団法人となったことに伴い、他の市町村同様に町の外郭団体として、就労のほか高齢者の生き甲斐づくりや健康づくりの面でも密接に連携していきたいと思っているところでございます。

 健康面では、町の健康診断において若年者健診の充実を図ったところですが、新年度も引き続き受診勧奨を行い、若いうちから成人病を予防するための動機付けを行って参ります。
 これまで申し述べました、新年度の施策や事業のほか、中心市街地周辺の住居表示の実施や各機関がそれぞれ保有している個人の情報を一元管理するための「社会保障・税番号制度」いわゆるマイナンバー制度への対応など、国の法改正や制度改正による様々な事務事業をしていかなければなりません。当然人員や財源の不足が懸念されるところではありますが、職員数については、平成27年度以降の定員適正化計画を策定することにしておりますし、財源については中学校の新設までを含んだ「財政シミュレーション」の見直しをいたしております。今後の財政運営につきましては、近い将来に予測される事業を的確に見定めることを前提に、「財政シミュレーション」を適宜見直し、今後とも住民サービスの維持向上が図られるよう努めて参りたいと考えております。

 最後になりますが、本町の発展は、マスコミなどにも取り上げられ周囲も認めるところであります。新たに転入された住民の皆様に住んで良かった、そして旧来からの住民の皆様にも住みやすくなったと思われるような町を目指し、更に魅力のあるまちづくりに邁進していく所存でございます。議会の皆様、町民の皆様のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

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