○新宮町男女共同参画推進条例

平成26年3月24日

新宮町条例第5号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第10条)

第2章 基本的施策等(第11条―第21条)

第3章 男女共同参画審議会(第22条)

第4章 雑則(第23条)

附則

日本国憲法では、個人の尊重と法の下の平等がうたわれています。わが国では、国際社会における取組と連動しながら、男女平等の実現に向けた法や制度の整備が進められてきました。平成11年には「男女共同参画社会基本法」が制定されて、男女共同参画社会の形成が21世紀の最重要課題と位置づけられています。

しかしながら、性別によって役割を固定的にとらえる考え方が依然として残っており、そのことが、男女の生き方の自由な選択や社会活動への参画の機会を妨げる要因になっています。

少子高齢化の進行や社会経済情勢の変化に対応するためにも、男女が互いにその人権を尊重し、責任も分かち合い、性にかかわりなく自らの個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現が重要となっています。

このような状況を踏まえ、ここに、新宮町の男女共同参画社会の形成に関する基本理念を定め、すべての人が協力し合って、男女共同参画社会の形成に関する取組を総合的かつ計画的に推進することにより、「男女がともに輝き 支えあうまち 新宮」を実現するために、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、新宮町(以下「町」という。)における男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、町、町民、自治組織、教育に携わる者及び事業者等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成に関する施策の基本的な事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思で社会のあらゆる分野における活動に参画する機会を確保され、そのことによって男女が等しく政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を受けることができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 町民 町内に居住、通勤、通学する者又は町内を活動の拠点とする個人をいう。

(3) 自治組織 町内会、自治会その他の町内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された組織をいう。

(4) 教育に携わる者 町内において、学校教育その他の生涯にわたる教育の分野において教育活動を行う者をいう。

(5) 事業者等 町内において、事業又は活動を行う法人(個人事業主を含む。)及び団体をいう。

(6) 固定的性別役割分担意識 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず、男性、女性という性別によって役割を固定的に分けようとする意識のことをいう。

(7) ドメスティック・バイオレンス 配偶者(元配偶者を含む。)、恋人等親密な関係にある者から受ける身体的、精神的、性的、経済的若しくは言語的な暴力又は虐待(子どもを巻き込んでの暴力を含む。)をいう。

(8) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な言動により、相手方の尊厳を傷つけ、不利益を与え、又はその生活環境を害することをいう。

(9) 積極的改善措置 男女共同参画の機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(10) ワーク・ライフ・バランス すべての人が、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活等において子育て期、中高年期等の人生の各段階に応じた多様な生き方を選択し、及び実現できることをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる事項を基本理念として推進しなければならない。

(1) すべての人の個人としての尊厳が重んじられ、性による直接的又は間接的な差別的取扱いを受けることなく、社会のあらゆる分野でその能力を発揮する機会が均等に確保されるなど、すべての人の人権が尊重されること。

(2) 固定的性別役割分担意識を反映した社会制度又は慣行をなくすよう努めるとともに、これらがすべての人の社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことのないように配慮すること。

(3) すべての人が社会の対等な構成員として、社会のあらゆる分野における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) すべての人が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び社会のあらゆる分野における活動に平等に参画し、両立できるよう配慮されること。

(5) すべての人は、生涯にわたり対等で安全な環境の下で健康な生活を営み、相互の性について理解を深めるとともに、妊娠、出産等、性と生殖に関して、個人の意思が尊重されること。

(6) 学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育の場において、人権教育及び男女平等教育を推進すること。

(7) ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメント等の性による人権侵害は、社会的な構造が背景にあることの認識の下に、根絶させること。

(8) 男女共同参画社会の形成は、国際社会における取組と密接な関係を有しているため、国際的な理解及び協調の下に推進されること。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)に基づき、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「推進施策」という。)を総合的かつ計画的に実施しなければならない。

2 町は、推進施策を実施するために必要な財政上の措置を講じなければならない。

3 町は、国及び他の地方公共団体と連携を図るとともに、町民、自治組織、教育に携わる者及び事業者等(以下「町民等」という。)と協力して推進施策を実施しなければならない。

4 町は、町民等の模範となるよう、率先して男女共同参画の推進に取り組まなければならない。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念に基づき、男女共同参画について理解を深め、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画社会の形成に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

(自治組織の責務)

第6条 自治組織は、地域社会における主たる自治の担い手として重要な役割を果たす存在であることを考慮して、男女共同参画の推進のための取組を積極的に行うとともに、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

(教育に携わる者の責務)

第7条 教育に携わる者は、教育が男女共同参画社会の形成に重要な役割を果たすことを考慮して、学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育において、男女共同参画の積極的な推進に努めなければならない。

(事業者等の責務)

第8条 事業者等は、その事業活動が男女共同参画社会の形成に重要な役割を果たすことを考慮して、男女共同参画を積極的に推進しなければならない。

2 事業者等は、町が実施する推進施策に協力するよう努めなければならない。

3 事業者等は、雇用の分野において、就労者の雇用上の均等な機会及び待遇を図るとともに、就業と家庭生活を両立できるよう就労に関する条件及び環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めなければならない。

4 事業者等は、その就労者に対して男女共同参画の推進に関する情報を提供するよう努めなければならない。

(人権侵害行為の禁止)

第9条 すべての人は、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、性を理由とした差別的行為を行ってはならない。

2 すべての人は、ドメスティック・バイオレンス及びセクシュアル・ハラスメント等人権を侵害する行為を行ってはならない。

(情報の表示に関する留意)

第10条 すべての人は、公衆に表示する情報において、固定的性別役割分担意識若しくは性に基づく暴力などの人権侵害を連想させ、又は助長する表現その他の不必要な性的表現を行わないよう配慮しなければならない。

第2章 基本的施策等

(基本計画)

第11条 町は、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画に係る基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 町は、基本計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ第22条に規定する新宮町男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、広く町民の意見を反映させるための措置を講じるものとする。

3 町は、基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかに公表しなければならない。

(施策への配慮)

第12条 町は、施策を策定し、及び実施するときは、男女共同参画社会の形成の推進に配慮しなければならない。

(町における男女共同参画推進の取組)

第13条 町は、男女共同参画の推進のために、次に掲げる事項に取り組むものとする。

(1) 町長その他の執行機関の附属機関として設置する審議会等の委員を任命、委嘱又は選任するときは、男女の委員の数について、一方の性に偏らないように努めること。

(2) 男女の別なく、職員の能力及び意欲に応じた登用に努めること。

(教育の充実)

第14条 町は、基本理念に基づき、学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育の場において、人権意識の向上と男女平等を促進する教育の充実に努めなければならない。

(家庭生活との両立支援)

第15条 町は、性別にかかわりなくすべての人が、共に家事、子育て、介護その他の家庭生活における活動と職域、学校及び地域等における活動とを両立して行うことができるよう、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

2 町は、職員が育児休業、介護休暇等家庭生活を支援する制度を性別にかかわりなく活用できる職場環境の整備に努めなければならない。

(自治組織への支援)

第16条 町は、自治組織に対し、当該自治組織における方針決定過程において、男女が共同して参画する機会を確保するため、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(事業者等への支援)

第17条 町は、事業者等に対し、男女共同参画に関する様々な情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(農林水産業及び自営業者への支援)

第18条 町は、農林水産業及び自営の商工業分野において、経営その他方針の立案及び決定の場に男女が対等な構成員として参画する機会を確保するため、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(調査研究)

第19条 町は、男女共同参画の推進に関し、必要な調査研究を行うよう努めるものとする。

(推進体制の整備)

第20条 町は、男女共同参画の推進に向けて、推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、必要な体制の整備に努めるものとする。

(苦情及び相談への対応)

第21条 町が実施する施策で、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策、又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について苦情の申出があった場合は、関係機関と連携して適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 性による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害に関し町民から相談を受けた場合、町は、速やかに関係機関と連携し適切な措置を講じなければならない。

3 町は、前2項に規定する苦情の申出及び相談に関する問題解決を図るため、相談窓口を設置するものとする。

第3章 男女共同参画審議会

(男女共同参画審議会)

第22条 町における男女共同参画の推進を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67条)第138条の4第3項の規定に基づき、新宮町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。

2 審議会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 町長の諮問に応じて、基本計画の策定及び変更に関して調査審議し、意見を述べること。

(2) 基本計画に基づく施策の実施状況について報告を受け、必要に応じて、町長に意見を述べること。

(3) その他男女共同参画の推進に関する重要な事項に関して調査審議し、町長に意見を述べること。

3 審議会は、町長が委嘱する10人以内の委員をもって組織する。

4 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の3未満であってはならない。

5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、公布の日から施行する。

新宮町男女共同参画推進条例

平成26年3月24日 条例第5号

(平成26年3月24日施行)