○新宮町文化財保護条例

平成8年10月3日

新宮町条例第21号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、国及び県の指定を受けた文化財以外の文化財で新宮町(以下「町」という。)の区域内に存するもののうち町にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって町民の文化の向上に資するとともに豊かな情緒と、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、古文書その他の有形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で町にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事などに関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で町民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもので、有形と無形に大別されるもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で町にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、海浜、山岳その他の名勝地で町にとって観賞上価値の高いもの並びに動物、植物及び地質鉱物で町にとって価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(5) 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)

(財産権の尊重、公益との調整)

第3条 新宮町教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の施行に当たっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(所有者等の責務)

第4条 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開するなどその文化的活用に努めなければならない。

第2章 町指定文化財

(指定)

第5条 教育委員会は、町の区域内に存する第2条に掲げる文化財のうち町にとって重要なものを新宮町指定文化財(以下「町指定文化財」という。)に指定することができる。

2 前項の規定による指定をするときは、教育委員会は、あらかじめ指定しようとする文化財の所有者及び権原に基づく占有者の同意を得なければならない。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合はこの限りではない。

3 第1項の規定による無形文化財を指定するに当たっては、保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。)を認定しなければならない。

4 第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該文化財の所有者、権原に基づく占有者及び保持者又は保持団体(以下「所有者等」という。)に通知する。

5 第1項の規定による指定は、前項の規定による告示があったその日から効力を生ずる。

6 第1項の規定による指定をしたときは、当該町指定文化財の所有者等に指定書を交付しなければならない。

(改正(令2条例第10号))

(解除)

第6条 町指定文化財が町指定文化財としての価値を失った場合及びその他特殊の理由があるときは、教育委員会は、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当と認められなくなった場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められる場合その他特殊の理由があるときは、教育委員会は、その認定を解除することができる。

3 前2項の規定による指定及び認定の解除をするときは、前条第4項及び第5項の規定を準用する。

4 町指定文化財について国及び県による指定があったときは、町指定文化財の指定は解除されたものとする。

5 前項の場合には、教育委員会は、その旨を告示するとともに、当該町指定文化財の所有者等に通知しなければならない。

6 町指定文化財の指定の解除の通知を受けたときは、所有者等は、速やかに町指定文化財の指定書を教育委員会に返還しなければならない。

7 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、保持者のすべてが死亡したとき、又は保持団体のすべてが解散したときは、町指定文化財の指定は解除されたものとする。この場合には、教育委員会は、その旨を告示しなければならない。

(改正(令2条例第10号))

(所有者等の管理義務及び管理責任者)

第7条 町指定文化財の所有者等は、この条例並びにこれに基づいて定める教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、町指定文化財を管理しなければならない。

2 町指定文化財の所有者等は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該町指定文化財の管理の責めに任ずべき管理責任者を選任することができる。

3 前項の規定により管理責任者を選任したときは、町指定文化財の所有者等は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。管理責任者を解任した場合も同様とする。

4 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(所有者等の変更等)

第8条 町指定文化財の所有者等を変更したときは、その旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 町指定文化財の所有者等又は管理責任者は、その氏名若しくは名称又は住所を変更したときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

3 町指定文化財の所有者等に変更が生じたときは、新所有者等は当該町指定文化財に関しこの条例に基づいてする教育委員会の勧告、指示その他の処分による旧所有者等の権利義務を承継する。

(滅失、き損等)

第9条 町指定文化財の全部又は一部が滅失し、き損し、亡失し若しくは盗み取られたときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(所在の変更)

第10条 町指定文化財の所在の場所を変更しようとするときは、所有者等(管理責任者がある場合は、その者)は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(保存、管理又は修理の補助)

第11条 町指定文化財の保存、管理又は修理(以下「保存等」という。)につき町は、その経費の一部に充てさせるため、当該所有者等に対し予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として保存等に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、当該保存等について指揮監督することができる。

(補助金の返還等)

第12条 前条第1項の規定による補助金の交付を受ける所有者等が次の各号の一に該当するに至ったときは、町は、当該補助金の全部若しくは一部を交付せず、又は当該所有者等に対し既に交付された補助金の全部若しくは一部の返還を命ずることができる。

(1) 保存等に関し条例、規則等に違反したとき。

(2) 補助金の交付を受けた目的以外の目的に補助金を使用したとき。

(3) 前条第2項の補助の条件に従わなかったとき。

(保存等に関する勧告)

第13条 教育委員会は、町指定文化財が滅失し、き損し、又は盗み取られるおそれがあると認めるときは、所有者等又は管理責任者に対し、保存等に必要な措置を勧告することができる。

2 前項の規定による勧告に基づいてする措置に要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。

3 前項の規定により町が費用の全部又は一部を負担する場合には、第11条第2項及び前条の規定を準用する。

(現状変更等の制限)

第14条 町指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為についてはその影響が軽微である場合は、この限りではない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合においてその許可の条件として同項の現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

3 第1項の許可を受けた者が前項の許可の条件に従わなかったときは、教育委員会は、許可に係る現状の変更若しくは保存に影響を及ぼす行為の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

(改正(令2条例第10号))

(修理の届出等)

第15条 町指定文化財を修理しようとするときは、所有者等は、あらかじめその旨を教育委員会に届け出なければならない。

2 町指定文化財の保護上必要があると認めるときは、教育委員会は、前項届出に係る修理に関し技術的な指導及び助言を与えることができる。

(公開)

第16条 教育委員会は、町指定文化財の所有者等に対し、6か月以内の期間を限って教育委員会の行う公開の用に供するため、当該町指定文化財を出品することを勧告することができる。

2 教育委員会は、町指定文化財の所有者等に対し、1か月以内の期間を限って当該町指定文化財の公開を勧告することができる。

3 第1項の規定による出品のために要する費用は、町の負担とし、前項の規定による公開のために要する費用は、予算の範囲内でその全部又は一部を町の負担とすることができる。

4 教育委員会は、第1項の規定により町指定文化財が出品されたときは、その職員のうちから当該町指定文化財の管理の責めに任ずべき者を定めなければならない。

5 教育委員会は、第2項の規定による公開及び当該公開に係る町指定文化財に関し必要な指示をするとともに、必要があると認めるときは当該管理について指揮監督することができる。

6 教育委員会は、第1項又は第2項の規定により出品し、又は公開したことに起因して当該町指定文化財が滅失し、又はき損したときは、町は、所有者等に対しその通常生ずるべき損失を補償する。ただし、所有者等の責めに帰すべき理由によって滅失し、又はき損した場合はこの限りではない。

(調査)

第17条 教育委員会は、必要があると認めるときは町指定文化財の所有者等又は管理責任者に対し、当該町指定文化財の現状又は保存等の状況につき報告を求めることができる。

第3章 文化財保護委員会

(追加(令2条例第10号))

(設置等)

第18条 教育委員会に文化財保護法(昭和25年法律第214号)第190条第1項に規定する地方文化財保護審議会として新宮町文化財保護委員会(以下「委員会」という)を置く。

2 委員会は、文化財の保存及び活用に関し、教育委員会の諮問に応ずるとともに、必要な調査及び研究を行うものとする。

3 委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(追加(令2条例第10号))

(諮問)

第19条 教育委員会は、次の各号に掲げる場合においては、あらかじめ委員会の意見を聴かなければならない。

(1) 第5条第1項の規定により町指定文化財の指定を行おうとするとき。

(2) 第6条第1項の規定により町指定文化財の指定の解除を行おうとするとき。

(追加(令2条例第10号))

第4章 補則

(繰下げ(令2条例第10号))

(教育委員会規則への委任)

第20条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(繰下げ(令2条例第10号))

この条例は、平成9年4月1日から施行する。

(令和2年3月10日条例第10号)

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

新宮町文化財保護条例

平成8年10月3日 条例第21号

(令和2年4月1日施行)